【府中市】“菌ちゃん農法”で育む、土と人のつながり。「あうわ」さんの畑で居心地がいい時間を過ごしませんか?

「農業に興味があるけれど、ひとりでやるのは難しい」「野菜づくり、子どもの情操教育にも良さそうだけど、農園を借りるまでは大がかり過ぎる」「自分で育てたものを美味しく食べたい」。
そんなふうに、農業体験や野菜づくりに興味はあるものの、なかなか手が出せない方も多いのではないでしょうか。

「あうわ」さんは、そんな悩みを解決できる——畑と農業を軸に、人との温かいつながりを実感できるコミュニティです。今回は「あうわ」さんのイベントに参加し、畑のお手入れを手伝いながら、メンバーのみなさんにお話を伺いました。

森と畑が一緒になったような空間は、まさに宝の山。奥に電車もみえる、夢のような畑です

●「あうわ」さんについて
「あうわ」さんは主に市内・白糸台の「も~おじさん農園」で、農や食への理解を深める活動をしています。「天と地をつなぐ、宇宙の仕組み」という意味を持つとされる言葉「あうわ」。一見難しそうに聞こえますが、農作業はまさに天の恵みで土を耕し、食を興すこと。そう思うと、とてもぴったりな言葉に感じます。

写真左から、桒田さん、竹林さん、龍さん。

メンバーは3名。栄養士で健康アドバイザーの桒田智子さん、自ら育てた古代小麦でパンを焼く龍のり子さん、整体師であり調理師の竹林京子さんです。3人の間に流れている空気はとても自然体で、初対面でもどこか落ち着きます。頑張らずに、普段の自分のままで過ごせる——そんな居心地の良いコミュニティです。

●あうわさんの活動と菌ちゃん農法
種まきから収穫までの作業や「畑あそび」をそのままイベントとして楽しむ「あうわ」さん。イベントごとに参加する人もいれば、日々の手入れをライフワークとして楽しむメンバーもおり、畑との関わり方も人それぞれです。

空心菜の収穫が終わったばかりの菌ちゃん畝。高い畝のなかは糸状菌がたくさん。空気中の窒素を取り込み、元気な野菜を作ることができます

「あうわ」の大きな特徴は、「菌ちゃん農法」を取り入れていること。菌ちゃん農法とは、微生物(糸状菌や窒素固定細菌など)を活用し、化学肥料や農薬をできる限り使わずに作物を育てる栽培手法です。土壌中の有用微生物を、親しみを込めて「菌ちゃん」と呼んでいます。

わらに広がる、糸のような糸状菌。野菜の根と絡まり、栄養を与えてくれる菌ちゃんです

「菌ちゃん農法」は高い畝(うね:野菜などを植えるために土を盛り上げた部分)をつくり、大量の有機物(落ち葉、枝、竹、もみ殻など)を混ぜて、土づくりを大切にする農法です。元気な野菜が育つだけでなく、地球温暖化の抑制にも効果があるとされる、持続可能な農法です。

●さっそく、「も~おじさん農園」の菌ちゃん畑へ
2025年9月中旬、まだ暑さの残る日。畑に入ると、小高いマルチ(土を覆う黒いビニール)の山がいくつも並んでいました。高さは50cm以上、「畝ではなく盛り土なのでは?」と思うほど。マルチには穴が開けられ、そこから力強く野菜が育っています。

また別の場所には、育てている途中の畝も。マルチの下で栄養をたっぷり蓄えた土を見せていただくと、ほかほかでふわふわ、そして無数の糸状菌が見えました。「土づくり」というより、まさに「土を育てている」という表現がぴったりです。

力強く育っているピーマン

そんなことを感じていると、竹林さんがピーマンをもぎってくださいました。太陽の光をたっぷり浴び、栄養満点の土で育ったピーマンは、つややかな緑色。指でつまんでもへこまないほど肉厚で、噛むたびに「ばりっ、ぼりっ」と弾ける音がします。口の中に広がる自然の甘みとほろ苦さ——まさに、太陽と土の恵みそのものをいただいているようでした。

いただいた瞬間、あまりの美味しさに目を見開き、鼻が膨らみました

●この日のイベントは「種まき(畑のまかないスープ付き)」でした
畝に植える野菜の苗を育てるため、育苗用ポットに種をまくのが今回のイベントです。収穫だけでなく、日々の農作業そのものをイベントとして楽しむのも、あうわさんならでは。

この日は8名が参加。市外から親子で来ていた方も、何度も通っている常連さんとのことでした。あうわさんの居心地の良さがうかがえます。

まずはポットに入れる土を用意します。畑に入り、ふかふかに育った土にスコップを入れると、湿った落ち葉と微生物の甘い匂いが立ちのぼり、思わず深呼吸しました。元気な虫たちが一斉に動き始め、居心地の良さを教えてくれます。生物にとっての命の拠り所だと実感しました。

落ち葉をよけ、スコップを入れるとふわっと立ち上る甘い香りがします

育苗ポットに土を入れ、種をまいていきます。今回は大根、にんじん、小松菜など、冬に向けて収穫できる野菜。「種の形が違うね」などと話しながら、笑顔で手を動かす参加者たち。ポットはそれぞれの家で育てるそうで、「水やりはどうしたらいい?」「日陰のほうがいいかな?」など、和やかな会話が続きます。

野菜の種を植え、ポットを持ち帰り育てる——そんなスタイルのイベントは個人的には初めてで「できる範囲で関わる」という自主性を大切にした、持続可能な農業コミュニティの姿を感じました。

●お楽しみの軽食タイム
作業が終わると、畑の横にあるスペースで、みんなでごはんをいただきます。このごはんが……本当に美味しいんです。なすの炒め物にゴーヤのおひたしなど、夏の滋味が汗をかいた体に染み渡ります。

そして、あうわさんの定番・竹林さんのデトックススープ。ひとくち飲むと、身体に芯がすっと通った感覚がします。優しく、それでいて力強く、ミネラルたっぷりの味でした。「軽食」とはいえ、心もお腹も満たされるひとときです。

「畑」や「食」を通じて集まり、同じ時間を共有することも、自然あっての“物種(ものだね)”。も~おじさん農園には、太陽の下で汗をかきながら、土と戯れる豊かな時間が流れていました。

●「あうわ」のこれから
「あうわ」の3人は、食・健康・畑でつながり、いつしか仲間になりました。
も~おじさん農園は今や「居場所」となり、地域のコミュニティのひとつになっています。

美味しいものが好きな人、無農薬の野菜づくりに興味がある人、畑をやりたいけれど1人では難しい人——そんな人たちが集まり、必要なときに手を貸し合う。親子で参加して、親同士のつながりが生まれることも多いそうです。

土に触れることは楽しいことと、メンバーと一緒にいるだけで実感ができます

これからは、全国各地の「畑のコミュニティ」とつながり、助け合える関係を築いていきたいと話すあうわさん。菌ちゃん農法の情報交換や交流会だけでなく、食糧の融通を相談し合える、有意義な関係を全国に広げられたら——と語ります。

「これからの時代、『豊かさ』はどれだけ仲間がいるかどうかだと思うんです」。そう語る3人の穏やかで力強いまなざしがとても印象的でした。

●今後のイベントも盛りだくさんです!
親子でも、おひとりでも、友人とでも。あうわさんのイベントは、肩肘を張らずに楽しめます。気になる方は、InstagramやPeatix(イベントサイト)をチェックしてみてはいかがでしょうか。秋になっても、まだまだ農作業、畑あそびは目白押しです。
また、菌ちゃん農法はプランターでも可能ですので、興味がある方も足を運んでみてはいかがでしょうか?

畑には様々な植物も育っています。8月には育ったシュロでバッタを作りました

も~おじさん農園最寄り駅の武蔵野台駅はこちら↓

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