【府中市】くらやみ祭:4日の山車行列に参加できなかった本町の山車とお囃子は会所でお披露目。人の縁、町の絆を繋ぎました
5月初旬に大盛況の中で行われたくらやみ祭。市内のいろいろな場所が祭り一色になりました。おおよそが予定通りに執り行われましたが、思わぬハプニングの中、催行された行事もありました。
●本町の山車は、4日の山車行列巡行に参加できませんでした
2025年5月4日(日祝)、この日は夕方から夜にかけて、けやき並木通りと大國魂神社前の旧甲州街道で太鼓の響宴と山車行列が行われました。日本最大級の大太鼓が神社大鳥居前に揃う太鼓の響宴は迫力があり、その後の山車行列は各町の山車が一斉に集まり、幻想的な風景が広がっていました。
…ですが、この4日の山車行列巡行に、本町の山車は参加できませんでした。

前日5月3日の様子
3日夜の囃子の競演は無事に終えたのですが、車輪の調子が悪いことが分かり、巡行が困難になってしまったのです。本町町内会会長の岡野光男さんに伺ったところ、3日夜の”囃子の競演”後の夜、4日の山車行列では巡行に参加しない、その代わり本町中組の会所にて囃子の披露をするという決断をされたとのことでした。

車輪の調子が悪くなってしまいました
●例年とは違う、本町の山車、お囃子の披露
4日の18時過ぎ。空が薄暗くなってきたころ、本町中組の会所では山車に明かりが灯り、お囃子が響き始めました。本町中組会所の場所は、大國魂神社の車清祓所からJR府中本町駅に抜ける通りにある、本町一丁目公会堂です。
山車の前にはパイプ椅子が並び、座って楽しめるようになっていました。通常、山車は巡行しながらのお披露目のため、ゆっくりと鑑賞することは難しいです。ですが今年はわが子や孫が一生懸命舞い、お囃子を奏でる姿にゆっくりピントを合わせることができたようで、みなさん笑顔でスマホやカメラを向けている姿が印象的でした。
●お囃子がつなぐ、人の縁
最初は親御さんやご家族が中心に歓声を送りながら鑑賞していたのですが、日が暮れるにつれ、どんどん人が集まってきました。はんてんを羽織っていない一般の方や、府中本町駅に向かう人たちが、中組の会所の前で足を止め、お囃子を楽しみ始めたのです。世代も性別も関係なく、まさに老若男女が集まり、お囃子を前にそれぞれが自由に楽しんでいました。
20代ぐらいの男性3人組は山車を見ながら、昔に参加した自分の町会のお囃子や子供神輿の話で盛り上がっていたり、「久しぶりー‼」と再会を果たす30代の女性グループがいたり、微笑ましい光景が広がっていました。山車が動かないからこそ人と人が繋がる、ドラマを見た気分になりました。
●他の町会の山車が本町に駆けつけ、お囃子の「競演」も
お囃子も観客も盛り上がっているころ、府中街道から訪問者が。なんと、他の町会の山車が本町の会所に駆けつけてくれました。そしてほどなく、お囃子の競演が始まりました。本町のお囃子もどこか今まで以上に熱を帯び、本町組の人も、観客もさらに盛り上がりました。複数の町会の山車が会所に訪れ、町同士の強いつながりも目の当たりにし、感動しました。
岡野さんは「この日のために子どもたちは1年前から練習を積み重ねて頑張ってきた。お客さまの前でお披露目ができて本当に良かった」と目を細めて嬉しそうに話してくださいました。
人と人を繋ぎ、町と町を結んでいるくらやみ祭。例年では見られない特別な状況で、府中の強い絆を感じることができました。来年も祭りから見えるドラマをお伝えできればと思います。
本町一丁目公会堂はこちら↓