【府中市】あなたは独りじゃない。不登校のこと、話してみませんか?『toi toi toi』は、経験者が寄り添うフリースクールです

2023年度、府中市では年間30日以上の欠席がある不登校の小中学生があわせて761人おり、小学生が340人、中学生が421人(※府中市教育委員会調べ)でした。全国的な不登校増加の流れを受け、市内でも年々増加の傾向です。

不登校の場合、市ではけやき教室やサポートルームなどが整備されています。しかし「もっと親子に寄り添った支援ができるのでは?」との思いで開校された民間のフリースクールがあります。

●フリースクールtoi toi toiさん

分倍河原駅から徒歩4分。住宅地を歩いて行くと、子どもたちの笑い声が聞こえてきます。笑い声は、「フリースクールtoi toi toi」さんから。ここには「学校が苦手」な子どもたちが集まります。

訪問すると、みなさん笑顔で迎えてくださいました。柔らかく光の射す部屋で、部屋も雰囲気も明るく、少し構えていた心がほどけていきました。今回は代表の加野容子さんと、運営に携わっている吉田さん、そしてお子さんからも「不登校」についてお話を伺いました。

toitoitoi_02

toi toi toi代表の加野さん(左)と運営スタッフの吉田さん


●代表を務めるのは府中で生まれ育った加野さん

代表の加野容子さんは、ご自身も3人のお子さんの母親です。高齢者施設で相談員・ケアマネージャーとして勤務後、市内医療機関でソーシャルワーカーとしても働きました。その後、子どもを取り巻く状況を目で見て、肌で感じて、2025年4月にフリースクールtoi toi toiを立ち上げました。

toitoitoi_03

柔らかい印象の加野さん。話したことを受け止めてくれる安心感があります

●卒業式のショックと患者さんの言葉が、スクール開校のきっかけに

加野さんが一番衝撃を受けたのは娘さんの小学校卒業式に見た光景でした。各クラス2~3人が欠席をしており、初めて不登校の現実を目の当たりにしたそうです。欠席した子どものことや親の生活のこと、市内に親子が頼る場所はあるのか・・・など、考えが止まらなかったとのことでした。

そしてその数年後、医療現場で働きながらもフリースクールの立ち上げを模索中、不登校のお孫さんを持つ患者さんに「あなた、ぜひやってちょうだい!やるべきよ!」と背中を押され、決意されたそうです。

toitoitoi_01

 

●いっそのこと「病気だと言われたほうが楽だとすら思った」。当事者として不登校を捉え、経験してきた吉田さん

娘さんの卒業式でのショックの他、息子さんが高校までの集団生活が苦手だったことにも向き合ってきた過去がある加野さん。同じく、スクールの運営に携わっている吉田さんも、まさに当事者として不登校の現実に向き合ってきました。

今回、吉田さん親子にもお話を伺いました。
――ある日を境に突然学校に行かなくなった吉田さんのお子さん。それまでは何をさせてもそつなくこなす子どもの変貌ぶりに吉田さんは驚き、すがる思いで手当たり次第に各所に相談をしたそうです。

「私と子ども、どちらの人生も『詰んだ』と思った。我が子の個性とは到底思えなかった」という吉田さん。「親が自分のことで答えを見つけようとあちこちに相談している、悩んでいることが分かってさらにしんどかった」と語るお子さん。「病気だと言われたら納得できるのに」と、立場が違う母と子が同じことを思っていました。

お子さんはおしゃべりできる友人もいましたが、学校の進め方に不信感を覚え、また集団で同じことをすることに納得ができず、クラスに登校しなくなりました。その後、保健室登校やリソースルーム(当時府中市で進められていた、通常学級での教育が困難な子どもを対象に、学校の使用していない教室を使用して行われた支援教育)で過ごしたとのことでした。

toitoitoi_04

吉田さんの雰囲気を明るく照らす笑顔からは、親子で乗り越えてきた優しい強さも感じられました。

現在は親子でペースをつかみ、お子さんは夢に向けて自ら学習計画を立て、勉強に励んでいるそうです。
「今は、個性を受け入れ、手放し、楽になった」と吉田さんは笑顔で教えてくださいましたが、親子二人の言葉からはそれまでは出口がない、終わりが見えない日々の壮絶さを感じました。

――toi toi toiのドアをノックすれば、そんな経験を乗り越えてきた加野さんと吉田さんが、柔らかい笑顔で迎えてくれます。


●toi toi toiが大事にしていること

スクールの運営にあたり、特に大切にしていることを伺いました。
①子どもの自主性を尊重すること
「集団で同じ作業をする」ことが苦手な子どもも多いですが、少人数だと負担を減らせることも。一人ひとり、好きなことや取り組めそうなことを都度確認し、サポートしているそうです。

②親と子が適切に離れること

親と子が離れて過ごす時間は、子どもを成長させることにつながると加野さん。同時に保護者にも自分の時間を過ごしてほしいと思っているそうです。
親の負担を減らすことが大事という思いから、昼食づくりも行っています。こちらはInstagramにも毎日美味しそうな投稿がされていますので、是非チェックしてみてください。

toitoitoi_05

画像提供:toi toi toiさん

 

●“来てよかった”のひと言が、スクール開校の決断は間違っていなかったと感じさせてくれました

スクール運営をはじめてよかったと感じたエピソードについて、加野さんに伺いました。

「スクール見学に来たお子さんが、帰り際に『今日来てよかった〜!また来るね!』と笑顔で言ってくれたのがとても嬉しかったですね」。
また、「保護者の方だけを対象とした面談日には、『一緒に行きたい!ママだけずるい!』とお子さんに言われたというお話を伺って、心があたたかくなりました」とも。

「toi toi toiが、子どもたちにとって“楽しい場所”だと感じてもらえていることが何よりです」という加野さんの充実している表情が印象的でした。

toitoitoi_05

●「不」登校ではない。学校以外の選択を肯定する社会になってほしい

続けて、今後の想いを伺いました。
「『不登校』という言葉が無くなればと思います。学校以外を選択することを受け入れる社会になればいいですね」と加野さん。

また、「相談が苦手な方もいると思うので、学校からも公共・民間構わずに子どもの支援団体がどこにあるのか、まとまった情報を担任の先生など学校が保護者に提供するようになれば、子どもも保護者も悩む時間が少しは減るのではないでしょうか」と、加野さんは強いまなざしで語ってくださいました。

「toi toi toi」という、安心で安全な場所。きっとこれから、多くの親子を優しく、柔らかく包むのだろうと思います。

相談だけでも大丈夫です。「保護者は孤独になりがちなので、気軽に相談してくださいね」と加野さん。気になる方はInstagramから、お気軽に問い合わせしてみてはいかがでしょうか?

toitoitoi_06

相談しにくい、しづらいこともあるかと思いますが、気軽にお声がけくださいとのことです

フリースクールtoi toi toi

利用日:月・火・木・金 9:00~16:00​
対 象:小中学生​
費 用:入会金¥30,000 月額¥38,000(昼食・おやつ代含む)
    スポット利用:¥5,000/回(別途昼食代¥500・おやつ代¥150)
※東京都民は助成金が利用できます
※無料体験が可能です(昼食・おやつ代別途)

今回、加野さんと吉田さん、吉田さんのお子さんにお話を伺い、不登校について多くのことを教えていただきました。ありがとうございました!

フリースクールtoi toi toiさんがある美好町はこちら(分倍河原駅より徒歩4分。詳細は申込時にご連絡)↓

号外NETの広告出稿はこちら

号外NETメルマガ

号外netは持続可能な開発目標(SDGs)を支援します

号外netへの提供提供求む!